この記事は2024.05.09時点の情報です。
この記事の目次
ドローンレーザー測量で、陸海空の万全な体制を目指す
新技術の早期導入で、先行者利益を獲得する
積極的に新しいものを取り入れる社風だという、津乃峰測量設計株式会社様。2017年に、海底の測量機器として四国初のマルチビームソナー、海上から陸上を測るための船舶搭載型3Dレーザースキャナーを導入。その後2021年に地上レーザーを導入し、海と陸での測量体制を整えました。
「創業者がどんどん新しい技術を取り入れるスタンスなので、現在もそれを引き継いでいます。」(藤井様)
その後「海と陸の次は、空」と、ドローンによるレーザー測量の導入も視野に入れ始めましたが、2020年頃までドローン搭載型LiDARは非常に高価で選択肢が限られた状態。そのため、手の届く価格帯になるまで、導入のタイミングを見計らっていたそうです。
ほんとうに必要なものを、計画的に導入する
FLIGHTS SCAN導入以前のドローンの活用については、小型機を保有していたものの業務で使う機会はあまりなかったとのこと。高精度な写真測量に対応する中大型機の導入については、次のように当時の考えを振り返ります。
「最終的にはドローンレーザー測量の内製化を目指していたので、中大型機にお金を使うのではなく、ドローン搭載型LiDARの相場が下がるまで写真測量は社外へ発注する方針としていました。」
妥協することなく、ドローン搭載型LiDARの導入に向けて計画的であったことがうかがえます。
長期にわたる情報収集、代理店様のご提案がキッカケ
早い段階から将来的な導入を見据えていた藤井様。ドローン搭載型LiDARについては、長い間情報収集をしていたようです。
「2020年以前から代理店の方に相談して“公共測量に対応可能で安価な機材”を条件に探し、紹介してもらっていました。」
その結果、TSC様から条件に合う製品ということで「FLIGHTS SCAN XT32M2X」をご提案いただいたとのことです。
新技術を積極的に取り入れる社風であるものの、新製品をなんでもただ早く導入するのではなく、まずはあらゆる選択肢の中で本当にそれが事業に必要かを吟味すること。そしてその後は、予算などの条件を定めて製品の調査を続けるなど、適切な導入タイミングを逃さぬよう常に動き続けていることがわかります。
「測量会社」だからこだわる、製品えらび
次にFLIGHTS SCAN導入の理由や決め手をお聞きしました。
公共測量で使える=国土地理院の基準を満たすこと
「弊社は測量会社なので、国土地理院のUAVレーザスキャナを用いた公共測量マニュアル(案)に準拠したスペックであることは絶対条件でした。」
製品によって性能はさまざまですが、測量の専門家として、国土地理院の基準をしっかりと満たす製品であることを重視されたのですね。
予算内であること
今でこそ低価格帯の選択肢が増えたものの、以前は数千万円の機材が主流。2020年以前から導入を検討し「手の届く価格の製品が出てきたら、導入する」という方針でしたが、具体的な予算はどのくらいだったのでしょうか。
「およそ1,000万円台になれば、本格的な検討を進める方針としていました。」(藤井様)
FLIGHTS SCANもこの予算内であることから、選択肢のひとつとなりました。
価格と性能のバランス、そして代理店様との信頼関係
幸い、昨今では「公共測量に利用でき、予算の範囲内」の製品も選択肢が増えてきました。そのような中でFLIGHTS SCANを導入いただいた理由について、藤井様は次のように話します。
「製品によって、価格と性能のバランスがさまざまでした。最終的にはそのバランスがちょうどよく、予算内で性能が担保されていることや、20年ほどお付き合いがある信頼できる販売代理店のおすすめということも考慮して決めました。」
FLIGHTS SCANで、業務内製化を実現
導入から約1年が経過した時点での使用状況と成果をたずねると、すでに6~7件の現場で使用するなど継続的に活用されているとのこと。導入成果としては、業務の内製化を挙げていただきました。
「地上レーザーの作業をFLIGHTS SCANに置き換えたことで、内製化が進みました。以前は業務規模や人員不足などで外部へ委託することもあったのですが、現在は社内で半日~1日ほどでデータを取得できています。」
ほかの機材との使い分けについては、次のように話します。
「弊社は海の現場が多いのですが、水がある部分はマルチビームソナー、それ以外では地上レーザーやFLIGHTS SCANを使うなど、複数の機器を使い分けています。」
陸海空それぞれのレーザー製品が揃ったことで、さらなる使い分けが進み、現場に合わせた機器を使うことでより精度の高いデータを効率的に取得できるようになったのですね。
インパクト絶大!空からのレーザー測量で変わる現場
さらにFLIGHTS SCANの使用感をたずねたところ、業務負荷の軽減や業務そのものが変わったとお話いただきました。
現場がわかる、業務が変わる
さまざまな製品を導入され、すでにレーザー製品に慣れているはずの津乃峰測量設計様。それでも、空からのレーザー測量はかなり革命的だったと話します。
「レーザー測量の性能やメリットは理解していたはずでしたが、やはり空からの測量はインパクトが大きかったです。俯瞰することで、現場を理解しやすくなります。
“まず飛ばす”ということができるため、仕事の手順も変わり、それに伴って測量の仕事の見方や会社の体制も変わっていきます。」
ささいな確認作業も、まずドローンでデータを取得。現場の俯瞰して全体像を理解することで、仕事全体の組み立て方も変わったそう。
レーザー製品の導入を「地上型」か「ドローン搭載型」か、で迷っている方は実演会などで実際の運用の様子を見ると良いでしょう。それぞれの利点や違いはもちろん、ドローンレーザー測量のインパクトある成果を、きっと理解できるはずです。
外業も内業も、半自動化で業務負荷軽減
「ほぼ半自動で飛ばせるので、作業は総じて楽になりました。
データ解析も、読み込んでからの手間が少ないので非常に快適です。」(藤井様)
データの解析作業も内製化を見据えて、必要な製品をTSC様にご提案いただき導入。使い方も販売代理店にレクチャーいただいたことで、不便なく使用できている様子です。
まだ測量できてない場所がある…さらなる事業拡大を目指して
数年越しに「ドローンレーザー測量」の実現を果たした、津乃峰測量設計様。陸海空の測量がそろったところですが、今後についてさらに前向きな展望を聞かせていただきました。
「まだ測量できていない範囲があります。陸部と水部を同時に測量できるグリーンレーザー、木影など細かいところに対応できるハンドヘルド(手持ち)型のレーザー、屋内などGPSの入らない場所むけにSLAM搭載のレーザーがあればいいと考えています。これらをすべて内製化していくのが目標です。」
今後も計画的に新たな製品を取り入れ、業務の幅を拡大させていく熱意が伝わります。
測量の新時代へ、いち早く動き出すことが大切
最後に、ドローン搭載型LiDARの導入を検討されている方に向けたメッセージをおうかがいしました。
ドローンが測量業の”当たり前”になる未来にそなえること
藤井様は、ドローンを今後の測量業における必須のツールとして捉え、従業員にも技術の向上を働きかけていると言います。
「今後、ドローンによる測量は当然のものとなっていきます。弊社でも技術者はドローンの資格を取るようにしており、すでに全員が民間資格を保有しています。操縦技術を高めるため、とにかくよく練習するよう伝えています。」
建設・測量業界でのドローンの活用は年々普及し、国土交通省も推進。レーザーに限らず、まだ業務にドローンを導入されていない方もそろそろ準備を進めるべきでしょう。
早期導入で得られる利点を見据えて
これまでも新しい技術を他社より早く導入されてきた津乃峰測量設計様。その理由は、早期導入のメリットが明確だからだと言います。
「新しい技術をはやく導入することで、有利になることは明らかです。マルチビームソナーを導入した際も周囲からは不思議がられましたが、ほかの会社が持っていないからこそ想定以上にいろいろな方面からお声がけいただきました。」(藤井様)
また、早期にほかのレーザー製品やドローンを導入され、知識や技術を習得されていたことが、FLIGHTS SCANのスムーズな導入や順調な活用に良い影響を与えたと考えられます。
新しい技術の導入は、価格面や情報の乏しさなど大変なことは多々あります。それでも、予想だにしない業務が舞い込んできたり、長期的な企業や従業員の成長につながるようです。国の動向からもドローンの活用が進むことは明らかですので、少しでも早い導入に向けて、今から動いてみてはいかがでしょうか。
まとめ
先端技術を積極的に取り入れる、津乃峰測量設計様。TSCの窪田様も「本当に前向きで、周囲がまだ導入しない時期に最新のシステムを入れることで、仕事を取っていく」とおっしゃるほどです。すでにFLIGHTS SCANをほかの機材と合わせて活用し、業務の内製化が進んでいるご様子で、私どももうれしい限りです。
藤井様のお話は、早期導入の利点や社内の体制づくりなど、参考となるものがたくさんあったのではないでしょうか。
そうは言っても、新しい技術の導入は不安がつきもの。当社では全国各地の販売代理店様とともに、製品選びから補助⾦申請のサポート、導⼊から活用までの計画など、お客様に合わせたご支援をしております。ぜひお気軽にご相談ください。