この記事は2024.04.12時点の情報です。
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三次元化の流れを受け、地上レーザーからドローンへ
はじめに、FLIGHTS SCANの導入に至った経緯をうかがいました。実は導入以前に、地上レーザーをお持ちだったそう。しかし地上レーザーは当時、あまり活用できていなかったと三好様は振り返ります。
「ドローン導入以前は地上型のレーザースキャナを持っていたのですが、あまり活用できていませんでした。発注者からの依頼もまだ少なかったことも要因のひとつです。加えて、当時は設計ソフトが3Dへの対応していないためデータの使い道がなく、活用できる現場もあまりありませんでした。」
業務へのドローンの活用については、2020年秋に民間のライセンスを取得。海外製のカメラ付き小型機を導入されました。使用目的は測量ではなく、山地など人が入りにくい場所の現地確認。上空から空撮し、全体像を把握するためだったそうです。
それから数年が経ち、近年では三次元測量が増加。国土交通省のBIM/CIMを進める動きが本格化してきました。これを理由に、ドローン搭載型LiDARの導入も検討をはじめたと三好様は話します。
「地上レーザーでは限界があることに加え、業界の流れを受けて、ドローンによるレーザー測量も導入しようという方向になりました。今後、県や国交省から三次元の業務発注が増えることを見据えてのことです。」
このような背景から2022年10月、ついにドローン搭載型LiDAR「FLIGHTS SCAN XT32M2X」と国産大型ドローン「ビルドフライヤー」を導入。
地上レーザーや小型のドローン、そしてドローンレーザー測量への変遷。時代のニーズや技術の進歩に沿って新たな機材を導入し、市場の要求に応えていることがうかがえます。
キッカケは、信頼する専門代理店
富士建設コンサルタント様がFLIGHTS SCANを知ったきっかけは何だったのでしょうか。三好様は次のように話します。
「ドローン搭載型LiDARについて、自分でゼロから調べるのは大変です。そのため、普段からお付き合いのある販売代理店、株式会社TSCの桑田様など複数社に声をかけ、取扱い製品の情報を教えていただきました。その候補のひとつとして、FLIGHTS SCANに出会いました。」
ゼロからの情報収集ではなく、専門家の知見を借りることで、スムーズに比較検討を進められたと言います。
「製品知識のある方からのお話でしたので、非常に分かりやすかったです。大いに参考になりました。」(三好様)
“現場で使う”ための機材選び
数ある製品の中から最終的にFLIGHTS SCANを選んだ理由として、三好様は次のように説明します。
“公共測量に使える”は絶対条件
今後の業務の受注を見据え、公共測量に利用できることは最低限の条件だったようです。
「まずは公共測量の基準に合致しているものに絞り込み、最終的に2機種ほどを代理店の方に選んでいただきました。そのなかで、それ以外の条件や、照射角度やエコー数など性能面での優位性を考慮し、FLIGHTS SCANを選びました。」
予算は設けず、”イイモノ”を
導入時の予算は特に設けていなかったそうです。もともと予算の検討がつかなかったこともあり、実際に製品の見積もりを取ってから上層部に承認を得る形で社内りん議を進めたとのことです。
「せっかく導入するなら、いいものを入れようと考えました。そのため予算は特に設定せず、補助金の活用も想定しておりませんでした。」
FLIGHTS SCANは高性能でありながら、従来の製品と比較して手の届く価格であることを理由に選んでいただくことも多い製品です。製造国や性能など、重視するポイントをしっかりと定めたことで、金額だけでなく”本当に自社に合った製品”を決断できたのでしょう。
実力を体感したデモが、導入の後押しに
導入の決め手となった出来事として、大規模なダムの残土置き場の計測デモを挙げてくださいました。このデモでデータ取得の明らかな効率化を目の当たりにしたことが、導入の判断に大きく影響を与えたと、三好様と桑田様は話します。
「デモを行うことにより、48haもある広大な現場でもドローンレーザー測量なら半日ほどでデータ取得が可能なことが分かりました。山間部であれ大規模現場であれ、ドローンレーザー測量には地上レーザーによる測量などと比較して、圧倒的なアドバンテージがあると実感しましたよね。」
実際の測量の様子とその成果を目の当たりにしたことが、導入の決断へとつながったようです。
効率化を実感、さらに広がる活用可能性
次に、FLIGHTS SCAN導入後の活用状況や成果をおうかがいしました。
「河川の測量で試験的に使いました。断面の切り替えが容易にできるようになり、計画変更時の対応もスムーズです。3次元データを基にできることは無限に広がりますね。これまでの作業が随分楽になったという実感はあります。」
FLIGHTS SCANは納品時に必ず講習を実施しております。事前に時期と調整し、富士建設コンサルタント様は新入社員を含む大人数で受講いただきました。そのため、一度に多くのメンバーで基礎知識を共有することができたようです。
さらに講習後は、代理店様のサポートにも大変助けられたと武田様は語ります。
「TSCの技術担当者の方が、マニュアルの作成や解析ビデオを見せてくださるなど、講習以外でもかなりサポートしてくださいました。」
多少操作に不慣れな部分があっても、信頼する代理店様の心強いサポートによって、安心感を得られたようですね。
見えた課題と確かな活用の手ごたえ
FLIGHTS SCANに可能性を感じつつも、本格的な活用には、まだいくつかの課題があると言います。
本格的な運用にむけて、乗りこえるべき課題
“経験に基づく作業”の技術継承を
ひとつめの課題として、三好様は次のように話します。
「データ解析の自動化は進んでいますが、レーザー点群の処理など、一部経験にもとづく作業は残ります。それを担える人材を増やすことが、今後の課題ですね。」
直接指導するものの、一度に教えられる人数は限られると言います。そのため、意識して学ぶ機会を設ける必要があると言います。
「社員がそれぞれほかの業務も抱えているので、なかなか時間が取れないのが現状です。通常の業務と並行しながら、練習の機会を作っていく必要性を感じています。」
操縦難易度、心理的プレッシャーに打ち勝つ
先に導入していた小型機とは異なるメーカーのドローンを導入したため、操縦難易度や、従来より高額な機材という心理的プレッシャーも無視できないと言います。
FLIGHTS SCANは保険を含む各種サポートに対応しておりますが、心理的ハードルを乗りこえるには、やはり熟練の技術者からの教育や、十分な練習機会に用意することなどが大切なのでしょう。
課題の先に確かにある、明らかな利益を目指して
一方で、実際に製品を使うことで、作業が楽になるというメリットはたしかに実感していると三好様は語ります。
「まだハードルはあるものの、活用の手応えは感じています。むずかしさを乗りこえた先にある世界を、もっと多くのメンバーと共有できたらなと。導入したら、どんどん使って使い方を身につけることが大切ですね。」
今後さらに技術を磨くことで、FLIGHTS SCANの真価をより発揮できるでしょう。
最大の魅力は広範囲の測量の効率化
FLIGHTS SCANの本格的な活用に向けた社内体制の構築に取り組む、富士建設コンサルタント様。実際の導入を経て、FLIGHTS SCANはどんな人や会社におすすめなのでしょうか。
広範囲は、やっぱりドローンレーザー測量
まず、ドローンレーザー測量を導入する大きなメリットとして武田様は、広範囲な土地の測量における効率化を挙げられました。実際にデモ計測では、1.5〜1.6km×0.8kmの範囲をわずか2フライト、たった40〜50分で計測できたと言います。
「ずばり、広大なエリアを計測したい人におすすめですね。
地上レーザーなら丸2日かかる範囲が、これだけの短時間で完了できる。大規模な面積を短時間で効率よく計測できるのは、ドローンならではのメリットです。」
山地の測量に使ってほしい
加えてFLIGHTS SCANならではのメリットとして武田様は「木々のある場所でも地表面のデータを取得できる点※」は見逃せないと言います。
「FLIGHTS SCAN XT32M2Xのマルチエコー方式ではラストリターンを確実に取得できるので、植生下のデータまでしっかり計測できます。やはり山などの広大な範囲を測量したい方にはおすすめですよ。」
作業員の立ち入りがむずかしい現場や、広大なエリアをくまなく測量したい。そんなニーズをお持ちの企業様にFLIGHTS SCANは、おすすめとのこと。
山地での活用には、地表面の高精度なデータ取得はもちろん、危険な場所への立ち入りを行わずに済む、安全性向上という大きなメリットがありますね。
まとめ
いま、ドローン搭載型LiDARによる3次元データの活用が、測量業界に新たな革新をもたらそうとしています。
ただ、新しい技術を活用するには一定の知識や時間を要するのも事実。これが理由で導入が決めがたい、先送りにしがちという企業も多いのではないでしょうか。
それでも、富士建設コンサルタント様のように日々製品に触れ、実践してゆくことで、必ず現場の強い味方となってくれるはずです。
導入に関するお悩みや不安は、いつでもお気軽にお聞かせください。導入前も導入後も、信頼する代理店様とともにお客様を全力でサポートいたします。
- 環境などにより成果は異なります